インタビュー

2025.06.23

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  • #農林漁業

最終的にいいところに落ち着けばいい。塩谷と埼玉を行き来するデンドロビューム愛好家

 
「移住」と聞くと、強い覚悟が必要なことに思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、これからご紹介する方の考え方は、重く感じてしまいがちな「移住」のハードルを下げるようなものでした。

今回は、趣味をきっかけに塩谷町を知り、埼玉県との二拠点生活を行っている移住者をご紹介します。

圓山 勝夫(まるやま かつお)さん

1945年生まれ、新潟県出身。
デンドロビューム愛好家。
妻・詔子さんと共に、塩谷町と埼玉県久喜市の二拠点で生活中。

花から始まった二拠点生活

「そのうちにさ、こっち(塩谷町)に家を建てて住むのもいいなと思ったわけですよ」

そう笑って話すのは、塩谷町と埼玉県を行き来しながら二拠点生活をしている、デンドロビューム愛好家の圓山さんです。

デンドロビュームとは、東南アジアを原産とするラン科の植物で、圓山さんは約3000株を上寺島区で栽培しています。

30年前に塩谷町を知ったのも、このデンドロビュームがきっかけでした。

「このランは夏に涼しい環境に置かなければいけないので、毎年6月から9月は知り合いのラン屋さんを通じて、高原山の中腹に住む方のところに自分の株を預けていました。

それで、家のある久喜市から塩谷町に通うようになったんです」

 

当時、道すがらに寄っていた直売所の店主と顔見知りになると、毎回のようにお茶を飲みながら、町に住むことを誘われていたそう。

そこで、店主の紹介を通じて土地を借り、デンドロビューム用の温室と寝泊りができるプレハブ小屋を建て、東京で働きながら週末は塩谷町で過ごす生活が始まりました。

「8年ぐらい塩谷に通った頃、温室の隣の土地の所有者からそこを売ってもらえる話が持ち上がりました。

私も妻も定年になったら、こっちに拠点をつくろうかという計画を立ててその土地を買い、家を建てました」

 

塩谷5日、埼玉2日の新鮮な日々

そんな圓山さんご夫婦の一週間はとてもユニーク。

月曜日と火曜日は久喜市で仕事をし、友人と会った後、水曜の昼から車で2時間かけて塩谷町に向かいます。

木曜日からはデンドロビュームの世話や畑作業を行い、日曜日の夜に町を出る二拠点の暮らしは「毎日が新鮮」と話します。

「初めから『もうここに骨を埋めるんだ』と思うとハードルが高くなってしまいます。

いきなり覚悟して、次の道はそれしかないんだと考えるとやっぱり重くなるから、行ったり来たりしながら最終的にいいところに落ち着けば良いと思うんです。

あまり考えすぎてね、どうしようと悩んでもしょうがないなと思うようになりました

 

新潟県出身で、塩谷町には地縁が全くなかった圓山さんの移住の決め手は「人」だそう。

「私の場合は、直売所の店主のおじさんと出会えたことが大きかったです。

押しつけがましくなく、住む気があるのならもっと話を進めてあげるよという感じで、自分のペースで移住できました」と振り返ります。

 

やりたいことをやるには

最近は、無農薬で栽培したサラダセットなどを町内の道の駅や直売所で販売しています。

夏に向けて、様々な種類の苗がすくすくと育っていました。

 

最後に、塩谷町への移住を検討している方々に向けて、メッセージをいただきました。

自分のやりたいことをやりに行くには、こういう山の中が一番いいんじゃないですか。

私はそう思いますよ。

何をするにしても、結構安くやれるから心配しないで大丈夫です。

あとはこっちの人脈をつくって、適度にお付き合いしながらやっていけば、楽しい生活ができると思いますよ」

 

温室の見学も歓迎しているという圓山さん。

移住者の方は塩谷町で「やりたいことをやる」のに加え、「デンドロビュームについて聞く」を選択肢に入れておくのもいいかもしれません。

 


 

(4月26日取材 地域おこし協力隊 小松原啓加)