インタビュー

2024.09.10

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量は力なり、 品質は信頼なり。担い手を育て産地を守るスプレーマム農家

スプレーマムという花をご存知でしょうか。

その名の通り、1本の茎からスプレー状に枝分かれし、小花をたくさんつける西洋菊(マム)のことを言います。

実はこのスプレーマムにおいて、全国屈指の生産地である塩谷町。
年間産出額は約5億円に上ります。

今回はその第一線で活躍し、後継者も育てているスプレーマム農家さんにお話を伺いました。

鈴木 一裕(すずき かづひろ)さん

塩谷町出身、スプレーマム農家。
2024年1月から塩谷スプレーマム担い手確保育成協議会会長を務める。
趣味はバイクと車。

塩谷の農家として成功するには

鈴木さんは、幼い頃から兼業農家として稲作栽培を行う父の姿を見ながら、いつかは自分も農業をやりたいと考えていました。

施設園芸での就農を決心した時に作物として選んだのは、町の特産品であるスプレーマムでした。

「塩谷町にはスプレーマム農家の部会があり、サポート体制がしっかりしています。

販路や技術も確立しているため、塩谷町で農家になるならスプレーマムを栽培することが成功する一番の近道だと思いました」

 

鈴木さんは、町内の先輩農家のもとで研修を受けながら資金の申請を行い、田所の自宅の前にハウスを設置。

22歳の時に就農しました。

 

産地の力を保つ量と品質

現在農家として25年目になる鈴木さんは、

スプレーマムを46アール、

水稲を5ヘクタール栽培しています。

品種を4種類に絞って効率よく生産した花は、農協を通して共同出荷。

「品質日本一」を謳う塩谷の産地の力を維持するには、市場へ安定した量を供給し続けることが大切だと話します。

量は力なり、品質は信頼なり。

痛みがなく日持ちして、塩谷の花を買えば間違いないと常に消費者に思ってもらえるよう心がけています」

 

スプレーマムの栽培期間は約3か月半と短く、初期生育でほとんど品質が決まるそう。

そのため土作りにこだわり、花が何を欲しているかを日々考えながら管理を行っています。

 

新規担い手の育成も

塩谷町のスプレーマムは、県内で一位を誇る生産量です。

しかし、高齢化により離農する農家が今後増えると、市場への安定した出荷が難しくなり、産地のブランド力が失われてしまう可能性があります。

そこで、2024年1月にスプレーマム農家、農協、町、県が一体となり「塩谷スプレーマム担い手確保育成協議会」を設立しました。

 

4月には、協議会の研修生として、スプレーマム農家になるための地域おこし協力隊を町で2人任用。

協議会の会長に就任した鈴木さんは、齋藤亮賢隊員の研修先農家として受け入れを行っています。

「地域おこし協力隊は任期が3年あるので、慌てないで少しずつ大事なポイントを教えるようにしています。

将来的にはパートさんを雇う農家兼経営者になることを見据えて、働き方や人とのコミュニケーションの取り方といった、農業技術のこと以外もうちで学んでいってほしいです」

 

 

次の世代に経験と知識を惜しみなく伝え、塩谷のスプレーマムを未来へとつなげています。

 


塩谷スプレーマム担い手確保育成協議会の就農案内パンフレット

(7月18日取材 地域おこし協力隊 小松原啓加)