インタビュー

2024.11.22

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まち、人、自然をウォーキングイベントでつなぐ

春の100km、夏の40.8㎞。

この言葉だけで、多くの塩谷町民は何のことかわかるのではないでしょうか。

全国から何百人もの参加者が集う「しおや湧水ウォーク」は、毎年恒例の地域の一大イベントとなりつつあります。

今回は、移住者でありながらこのウォーキングイベントの実行委員長を務め、町で存在感を発揮している遠藤さんにお話を伺いました。

遠藤 広実(えんどう ひろみ)さん

1968年生まれ、宇都宮市出身。
しおや湧水の里ウォーク実行委員会委員長。
趣味はイベント運営。

一人の町民との出会いから塩谷へ

宇都宮市で生まれ育った遠藤さんが塩谷町とつながったのは、町出身の医師・尾形新一郎さんとの出会いがきっかけでした。

17歳の時に働いていたパソコンショップで、遠藤さんはお客さんとして訪れた尾形さんに対応します。

「それ以来連絡を取るようになり、何かと頼み事をされたり、一緒にウォーキングイベントに参加するようになりました」

 

当時研修医だった尾形さんは後に尾形医院の院長となり、2015年にサービス付き高齢者住宅「湯ったりしおや」を設立します。

その前年に塩谷町は、環境省により指定廃棄物の最終処分場の候補地に選ばれていました。

「尾形先生に『処分場の問題で塩谷が大変なんだ。湯ったりしおやも立ち上げるし来ないか』と言われ、自分自身を変えたい時期だったこともあり引っ越してきました」

 

地域を巻き込み交流するウォーキングイベント

遠藤さんが現在実行委員長を務めているウォーキングイベントも、もともとは尾形さんが始めたものでした。

「処分場の候補地となった塩谷町のことを多くの人に知ってもらいたい」との考えから、

自然豊かな尚仁沢をルートに取り入れた40.8kmコースの大会を2015年から開始。

2017年からは、二日間かけて行われる100㎞コースの大会も開催しています。

尾形さんの亡き後も想いを継いでイベントを続けている遠藤さんが意識しているのは、

「地域の人たちと参加者がコミュニケーションを取れる環境をつくること」だと話します。

「田舎だと交流の場が少なく年配の方は動ける範囲が狭いと思うので、

町外から人に来てもらうウォーキング大会のエイドポイントがその交流の役割を果たせたらと思っています」

町内事業者の商品を使用したり、若手農家と協力してマルシェを同時開催したりと、2つのウォーキングイベントは地域を巻き込んだ一大イベントとなっています。

 

塩谷の春と夏の風物詩

「今はウォーキングイベントの運営が趣味のような感じ」と笑う遠藤さん。

参加者は年々増え、2024年8月に開催された40.8キロウォークは900人を超えるウォーカーが町内を歩きました。

第10回目の区切りを迎える来年は、2,000人の参加を目標にしています。

 

 

塩谷町の恒例行事となった遠藤さんのしおや湧水の里のウォーキングイベントは、これからも町を盛り上げ続けます。

 

(9月13日取材 地域おこし協力隊 小松原啓加)