インタビュー

2023.04.24

「理想の暮らしを実現できそう!」そんな環境を塩谷町で見つけ、神奈川県から移住

コロナ禍を機にライフスタイルを見直し、都市部から地方への移住を検討し始める人が増えてきた昨今。テレワークという働き方が浸透し、働く場所の制約がなくなったことで“転職なき移住”が実現しやすくなりました。2022年に塩谷町に移住したこちらのおふたりはまさにこのタイプ。思い描く暮らしを叶えられる土地を塩谷で見つけ、神奈川県藤沢市から移住したおふたりに、移住の経緯や思い描く暮らしなどたっぷり伺いました!

天谷 浩彰さん・渡部 幸恵 さん

2022年2月に神奈川県藤沢市から塩谷町に移住。家の周りの土地を耕しながら、自分たちが理想とする暮らしを少しずつ実現中。藤沢でも畑を借りており、現在は隔週で塩谷と藤沢を行き来する2拠点生活。幸恵さんは移住前から勤務している法律事務所の業務をテレワークにて継続中。

畑に触れるうちに移住への思いが沸々と

塩谷町の中心部からやや北部にある熊ノ草地区。豊かな森林が広がり、民家の少ない静かなこの地域に、神奈川県藤沢市から移住した天谷浩彰さんと渡部幸恵さん。移住から1年を迎えたおふたりに、移住のきっかけや現在の暮らしについて伺った。

「もっと広々とした土地で農作物を育てながら暮らしたい。そんな思いが少しずつ湧いてきたのが移住を考えるきっかけでしたね」と振り返るのは幸恵さん。移住前から都内の法律事務所で事務の仕事に従事する傍ら、浩彰さんと生活する神奈川県藤沢市で約700㎡の土地を借り、ふたりでトマトやじゃがいもなどさまざまな作物を育てていたとか。そこで畑の楽しさを知り、もっとやってみたいという気持ちが芽生えたという。

「それから『アナスタシア』という本に影響を受けたのもきっかけのひとつです。自分たちで豊かな土地をつくるということに共感し、いつしか『家族と動物たちがゆったりと豊かに暮らせる"楽園"をつくりたい』と思うようになりました」と幸恵さんは続ける。

そんな気持ちの変化とともに移住の後押しとなったのが、コロナウイルスの感染拡大によって在宅時間が増えたこと。働き方はテレワークに切り替わり、それまでの忙しく動き回る生活から「ゆったりと暮らす」ということを経験。出勤しなくても仕事を続けられることもわかり、移住への思いが強くなっていった。
 

友人宅のある塩谷町へ遊びに行き、少しずつ町に惹かれていく

ふたりが初めて塩谷町を訪れたのは2021年2月頃。浩彰さんの仕事の関係で町に行く機会があり、友人ら約30名とともに町内の観光名所等に足を運んだ。

尚仁沢湧水を訪れたのですが、季節が冬ということもあって景色が茶色っぽくてなんだか寂しい感じがしたんです。その時はこの町に移住することは考えていませんでした」と幸恵さん。浩彰さんも移住先として「最初はピンと来なかった」という。

しかし、2021年6月から浩彰さんの元同僚で友人でもある愛称“ともちゃん”が仕事の関係で塩谷町に暮らし始め、友人らとともに毎月遊びに行くうちにふたりの塩谷町への印象が変わっていく。少しずつ自然の魅力や地元の方々の温かさに触れ、この町を移住先として真剣に考え始めるようになっていった。

 「塩谷って自然の力をダイレクトに感じられるんですよね。私は整体や鍼灸で治療を行う仕事をしているのですが、塩谷に行ってともちゃんを治療したとき、施術者だけでなく自然の力も使いながら治療できているという初めての感覚があったんです。そんな体験も塩谷に惹かれた理由のひとつですね」と浩彰さん。
 

イメージに近い物件に出合い、塩谷町に移住

塩谷町への移住を検討し始めたふたりは、ともちゃんが移住する際に物件探しをサポートしてくれた町役場の職員に連絡。思い描く暮らしを伝え、それが実現できそうな物件探しに協力してもらった。

「イメージしたのは、野球場ひとつ分ほどの広さの土地で森に囲まれているということ。それから、畑と田んぼがあって作物を育てることができ、動物たちが自由に走り回ることもできる。そんな物件を探していました」と幸恵さん。町内の物件を10件ほど紹介してもらい、その中に森に囲まれた畑付きの物件を見つけた。

「現地に行ってみると、自分たちが思い描いたイメージにとても近い物件で、やりたいことができそうだなと感じました。ふたりとも“ここだ!”と思いましたね」と浩彰さん。

「それから、ヤギや馬と暮らしたいと思っていたところ、町役場の方から馬とともに移住した方がいるという話もお聞きして、動物と暮らすことがとても身近に思えたのも大きかったですね」と幸恵さんは話す。

「家族と動物たちがゆったりと豊かに暮らせる"楽園"をつくる」。その舞台を塩谷町に見つけたふたりは、2022年2月に移住した。

 

移住後はテレワークを続けながら“楽園づくり”

塩谷町で暮らし始めたふたりは、それまでの時間に追われる生活とは打って変わり、季節の移ろいを肌で感じられる日々を過ごしている。幸恵さんは引き続き法律事務所の仕事をしているが、テレワークで9時から15時半までの勤務とあって、心身ともにゆとりのある生活を送ることができているとか。

「移住してからは、癒されたいと思うことがなくなりました。以前は満員のバスや電車に乗るなど、たくさんの人がいる中で過ごすのが当たり前の日々。ここで暮らしてみて、物理的に人との距離が近いだけで疲れるものなんだなということがわかりました。昔よく感じていた“削られている”という感覚が今はなくてとても快適です。PCで仕事をしながら、ふと窓の外に目を向けると“はなちゃん”が見えますしね(笑)」と、にっこり。

“はなちゃん”とは、ふたりが移住後に飼い始めたヤギのこと。町役場の職員から聞いていた「馬とともに移住した人」のところを訪問したことがきっかけで、縁があってはなちゃんを迎えることに。それから、黒猫の“くぅちゃん”も仲間入り。こちらも地域の方から譲り受けたとか。

「移住の際、私たちが住む熊ノ草地区の区長やご近所さんへのご挨拶のほかに、地区の総会で住民の方々と顔合わせをする機会があり、みなさんとても温かく受け入れてくださいました。そこで地域の方々とのつながりが広がって、なんと田んぼを使っていいよと言ってくださる農家さんもいて。みなさんのおかげで移住1年目からやってみたいことにチャレンジできています」
 

藤沢市と塩谷町を隔週で行き来する生活で両親も喜ぶ

塩谷町は、埼玉・千葉・神奈川といった東京圏へのアクセスが良好であることも魅力のひとつ。浩彰さんと幸恵さんは、塩谷町に移住後も神奈川県藤沢市に隔週で通い、人生の転機となった畑の手入れを続けるとともに、そこで出会った方々とのつながりも大切にしている。

浩彰さんは「藤沢には実家があって、幸恵と一緒に帰るたびに両親が喜んでくれるんです。特に父親の方に変化があって、以前よりも笑顔を見せてくれるようになりました。塩谷と藤沢の2拠点生活が両親にもいい影響をもたらしているのは意外ですね」と嬉しそう。

移住して1年が経過した今、これからのことについて伺うと、「いろいろ構想していますが、まず自分は“種を蒔く人”でありたいと思っていて。自分たちの望む暮らしを営みながら、町にもいい影響を与えられたらいいですね。例えば、家の周りの人工林を間伐しながら原生植生の木を植えて森林を豊かにするとか。個人的な活動から少しずつ共感してくれる人たちが増えて、やがて大きな動きになればいいなと思っています」と浩彰さん。

幸恵さんは、「私は怖がりなんですけど、塩谷町に来てからは、“間違ってもいいから自分の思ったようにやってみる”という生き方ができるようになった気がします。都会の暮らしってモノがあふれていて、すぐに正解が見つかるので楽で便利。でもなんだか満たされない。ここでの暮らしはトライ&エラーができて、失敗も自分の経験として受け止められる余裕がある。だから思い描く暮らしを実現するために、少しずつ自分ができることをしていこうと思っています。次にやりたいことは、馬をお迎えして一緒に暮らすことですね」と目を輝かせる。

浩彰さんと幸恵さんの楽園づくりはまだ始まったばかり。これからふたりがどんな暮らしを営んでいくのかとても楽しみだ。
 

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