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ピンチをチャンスに。老若男女に愛されるまちの酒屋+駄菓子屋
大宮銀座通りに店を構える「日野芳(ひのよし)酒店」は、創業130年を超える地元の酒屋さんです。
早朝からお店のシャッターを開けるのは四代目の塚原智美さん。
塚原さんは、曾祖父から続く家業を受け継ぎながら、近年新しい取り組みを始めました。
今回はそのきっかけや想いについて迫ります。
塚原 智美(つかはら ともみ)さん
塩谷町出身。日野芳酒店 四代目代表。
短大への進学で上京。結婚し宇都宮で暮らしたのち塩谷町に戻り、実家の酒屋を継ぐ。
趣味は旦那さんとのドライブ。
地域に支えられ30年
二人姉妹の長女である塚原さんは、幼い頃から家の「跡取り」と言われて育ちました。そのため、短大への進学で上京後、結婚し塩谷町へ戻ってきました。
子育てをしながら両親の手伝いをしていましたが、30歳の時に父・芳一さんが急逝され、店を継ぐことになります。
それから30年近く、母・栄子さんとお二人で、地域に根付いた酒屋を続けてきました。
「大変でしたが、父の時からのお客さんが離れることもなく、地元の色々なお店とずっと取引させていただいてここまでやってくることができました」
コロナ禍で駄菓子屋に挑戦
明治時代から続く日野芳酒店ですが、近頃では「駄菓子屋ひのよし」としても町内外の子どもたちに人気です。
きっかけは、新型コロナウイルス感染症の拡大でした。
お酒が売れなくなり、取引で親しい風見区の小島酒造に相談をしたそうです。
「することがなくぽっかりと穴が開いた気持ちになっていたとき、(小島酒造の)拓ちゃんから、
『子どもの保育園で、まちに駄菓子屋があるといいのにねという声があった』と聞いて。
駄菓子屋さんっていいなと目の前がパッと明るくなったんです」
子どもが好きで、保育士になりたかったという塚原さん。
小さいころに近所の駄菓子屋さんへよく遊びに行っていた思い出もありました。
店内にスペースを設け、令和2年3月から駄菓子の販売を始めました。
町内イベントや、こども未来館「しおらんど」で知った親子連れから少しずつ存在が広まり、今では町外のお客さんも増えているそうです。
「(やっていて)本当に楽しいです。
どんな子でも店に入ってくると、みんな目がキラキラしてニコニコしてきて。
酒屋だけでは知り合えなかった色々な方とも知り合えて、『塩谷町ってこんなに広かったんだ』という感覚になりました」
元気の源は子どもたち
コロナ禍を機にお店の形を変えた塚原さん。
そこには単なる商売だけではなく、まちに子どものための場所をつくりたいという想いがありました。
「この駄菓子屋で一番感じたのは、人間はまず子どもから元気をもらうんですよ。
若い人がこのまちに来て、子どもたちが増えてくれれば、それだけで塩谷は元気になると思っています」
ピンチをチャンスにし、大人にも子どもにも愛されるようになった日野芳酒店です。
日野芳酒店
塩谷町大宮1149
TEL:0287-46-0007
定休日:日曜日
営業時間:7:00~18:30(月~金)
7:30~18:30(土)
(10月26日取材 地域おこし協力隊 小松原 啓加)
【広報しおや12月号掲載】